メディカルITセンターは、医療情報部の幾度かの発展的な改組により現在の形に様変わりしています。医療情報は診療録(カルテ)の重要性から発展をし、現在はBig Dataの利用、ウエアラブルデバイスに代表されるIoT技術、さらには人工知能(AI)の進化に伴って、その領域は大きく変わりつつあります。我々名古屋大学も「スマートホスピタル」構想という名の下、病院の変革を目指しているところです。
今の時代、コンピュータやデータなしでは病院業務は成り立ちません。そのための個人情報保護やサイバーセキュリティ対策はもちろん重要となっています。しかし、単にコンピュータやデータを管理するのではなく、広い視野を持ち、データに基づき病院横断的または地域全体の全体最適化を考慮し、医療全体の最適化・効率化を目指すことが、デジタルトランスフォーメーション(DX)という観点からも求められる時代となっています。同時に、リアルワールドデータ(RWD)の利活用の推進や、先進的な医療関連分野において、薬や医療デバイスのみではなく多分野に渡る研究者へのまたはからの支援・協力が不可欠となっています。
世界的・全産業的に「2025年の崖」が叫ばれ、IT人材が不足すると言われる中において、上記のようなことを行なうためには、進歩の速い医学と目まぐるしく変化しているICT技術の知識のみならず、倫理分野など多分野との協調や理解が不可欠となっています。そのため、大学学部教育、大学院教育と言った従前の専門教育のみならず、新しい時代のニーズに合わせたリカレント教育、リスキリングのための教育、医療情報専門医やデータ・サイエンティストなど新たな教育プログラムにも積極的に関与していきたいと考えています。 今起きている時代の変革の波を背に感じながら、この地域の医療を支え、同時に先端的な医療で日本をリードしていく責務を自覚し多くの方々への理解を求めていく積もりでおります。そのような役割を担うべく職員一同心しておりますので、今後とも益々のご指導とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
白鳥 義宗